口腔内腫瘍 |
犬の口腔内の腫瘍は、 乳腺腫瘍、皮膚腫瘍、肥満細胞腫についで4番目に多い腫瘍です。 よく見られる腫瘍として、 悪性腫瘍では、悪性黒色腫、扁平上皮癌、線維肉腫、 良性腫瘍では、歯肉腫(エプリス)です。 これらの腫瘍の性格は、それぞれ大きく異なり、 見た目だけでは確定診断はできません。 性格が大きく異なるゆえに、腫瘍によって手術の大きさや方法、 他の治療法やインフォームドコンセントは大きく変わってきます。 よって、口の中にしこりがあった場合、しっかりとした診断のもと、 適切な治療を行わなければなりません。 口の中のしこりをとりあえず手術してもらったら、 XXX癌だった・・・。 なるべくこういうことは避けたいものです。 (性格が大きく異なるものに対して、 どういった手術ができるのでしょうか?) |
・悪性黒色腫 口腔内の腫瘍の中での発生は多く、 局所浸潤、転移性がともに高く、 適切な切除・放射線治療が行われた場合でも 最終的には遠隔転移を起こし、 予後不良となることが多い腫瘍です。 |
・扁平上皮癌 口腔内の悪性腫瘍のうち、適切な治療により 根治する可能性が最も高い腫瘍です。 腫瘍の発生する部位によって悪さが異なり、 口の先端に近いほど治しやすく、 喉の奥の方に行くほど予後不良になります。 |
・線維肉腫 口腔内の悪性腫瘍うち転移性は低いですが、 局所浸潤がとても強い腫瘍です。 転移性が低いゆえに、 局所の病変をどうするかが大切です。 レトリバー系に多い、 犬の上顎及び下顎の高分化型線維肉腫の発生も、 多いように感じます。 |
・歯肉腫(エプリス) 腫瘍でないという人もいますが、 臨床的に腫瘍として対応します。 適切な治療でそれほど困ることはないですが、 中には、しっかりした治療をしないと 治らないものもあります。 ・線維腫性エプリス、骨性エプリス 切除のみでほぼ良好なものが多いです。 ・棘細胞腫性エプリス(棘細胞腫性エナメル上皮腫) 臨床的に最も大切なエプリスです。 しっかりと奥(歯槽骨レベル)まで切除しないと よく再発を起こします。 大きく骨まで浸潤した場合には、 顎骨の切除が必要になることもあります。 |